リベンジポルノの被害

リベンジポルノの被害

1 リベンジポルノ防止法の成立

元交際相手等への嫌がらせのために交際中に撮影した性的な画像や動画をインターネット上に掲載するいわゆるリベンジポルノが社会問題となっています。

そのため、昨年「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律」(リベンジポルノ防止法)が制定されました。

リベンジポルノ防止法では、次の①〜③の画像や動画について第三者が撮影された人物を特定することができる方法でデータをインターネットを介して公表し たり、そのような画像や動画が記録された媒体(写真等)を不特定若しくは多数の者に提供し又は公然と陳列した者に対して、「3年以下の懲役または50万円 以下の罰金」が科されることになりました。

  • 性交や性交に類似する行為を撮影したもの
  • 自分が相手の又は相手が自分の性器等に触れる行為を撮影したもの
  • 性器等の性的な部位を露出又は強調したもの

また、直接そのようなデータのインターネット上への公表等の行為をした者だけでなく、そのような公表等をさせる目的でデータを提供するなどした者に対しても「1年以下の懲役または30万円以下の罰金」が科されることになりました。

もっとも、上記の犯罪は、親告罪といって被害者からの告訴がなければ刑事裁判をすることができない犯罪とされていますので、被害にあわれた方は警察等への告訴をすることが必要になります。

2 リベンジポルノを削除するには

上記のようにリベンジポルノ防止法では、リベンジポルノが犯罪になることが明確に規定されました。しかし、インターネット上に公表された画像や映像は捜査機関に告訴したとしてもそのままでは削除されません。

そのため、リベンジポルノの被害にあってしまった場合、リベンジポルノが掲載されたホームページの管理者やプロバイダー等に対して、「送信防止措置」いわゆる削除を依頼することが必要です。

送信防止措置を依頼すると、依頼された管理者等はリベンジポルノを掲載した発信者に対して送信防止措置に同意するか照会を行い、発信者が照会を受けた日から2日経過した場合には削除が行われることになります。

また、送信防止措置を依頼する方法以外にも、裁判所に対しインターネット上に掲載された写真等の情報の削除の仮処分を求める方法が考えられます。

3 発信者に法的措置をとるためには

リベンジポルノの被害にあってしまった場合、情報の発信者に対し、損害賠償を請求することが可能です。

リベンジポルノをする人物は多くは元交際相手であると思われますが、損害賠償を請求するには、実際にインターネット上に画像等のデータを掲載した人物が誰であるか特定する必要があります。

そこで、ホームページの管理者等に対し、発信者情報の開示を請求することになります。仮にホームページの管理者が発信者情報の開示に応じなかった場合には、リベンジポルノの削除の場合と同様に、発信者情報開示の仮処分を裁判所に対して行うことになるでしょう。

このような手続きを経て発信者を特定できれば、特定した発信者に対して損害賠償を求めることとなります。

4 おわりに

不幸にもリベンジポルノの被害にあってしまった場合、インターネット上で情報が拡散していく可能性があります。そのため、被害にあってしまった場合、迅速に対応する必要があり、法的な手段をとる必要も出てきますので,一度弁護士に相談されることをお勧めいたします。