相続財産管理人について

相続財産管理人について

今回は、先回に続いて相続財産管理人が選任された後の手続について説明します。

相続財産管理人の職務

相続財産管理人の職務は、①相続人の捜索をすること、②相続財産を管理すること、③債権者のために相続財産の清算等にあたることです。

相続人の捜索

家庭裁判所は相続財産管理人を選任した後、遅滞なくこれを公告し(同法第952条第2項)、この公告から2ヶ月過ぎても相続人がいることが判明しなかった場合は、相続財産管理人が相続債権者・受遺者に対して一定の期間(2ヶ月以上)内に請求の申出をする旨を公告し(同法第957条。なお、知れている債権者に対しては格別に催告をします)、それでも相続人が明らかでない場合は、相続財産管理人又は検察官の請求により、相続人がいるのであれば一定の期間内(6ヶ月以上)にその権利を主張すべき旨を公告します(958条)。

それでもなお、相続人として権利主張する者がいなければ、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者等(これらを「特別縁故者」といいます。)の請求によって、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部をそのものに与えることができます(958条の3第1項)。

相続財産の管理

相続財産管理人は、選任から1ヶ月以内に被相続人の財産を調査して財産目録を作成し、善良なる管理者の注意義務を持って相続財産の管理にあたります(644条)。

相続財産の清算等

相続財産管理人は、相続債権者・受遺者に対して一定の期間内に請求の申出をする旨を公告し、公告した期間の経過後に、債権者及び受遺者に対して弁済し、なお残余があれば、特別縁故者に分与したり、国庫に帰属させることになります。

なお、相続財産に不動産などがある場合は、これを売ってお金にしますが、相続財産管理人は基本的には相続財産を管理することしかできず、売却する権限は与えられていません。このような時は、相続財産管理人が、家庭裁判所に対して「権限外行為の許可申立て」を行い、不動産の売却について許可をもらうことで、相続財産管理人が不動産の売却を行うことが可能となります。

以上のように、相続財産管理人は、相続人が明らかでない相続財産について、相続人を捜索する一方、相続財産の管理・清算を行います。
お金を貸していた人が亡くなり相続人が不明の場合、相続財産管理人の申立てをしなければ、財産を管理・清算する人がいないため、お金を返して貰うことはできません。相続財産管理人選任の申立ては複雑な手続となりますので、申立てを考えておられる方は、是非当弁護士事務所までご相談ください。