弁護士の選択

弁護士の選択

「専門は何ですか?」とよく聞かれます。しかし、弁護士の業界は、医者とは異なり専門化はされていません。どの弁護士も同じ試験を受け、同じ試験に合格して弁護士になっていますので、「専門」を客観的に裏付けるものはないのです。

ただ、法律事務所の中には、たとえば「債務整理・破産」とか「離婚」という文字を大きく宣伝している事務所もありますが、それはおそらくそういった事件 を扱いたいという営業方針を示しているだけで、必ずしもその事務所が他の法律事務所と比べて「専門的な能力」が高いということを示しているものではないの です。

ある特定の分野の事件を主に扱い、かつその分野の事件において他の事務所ないし弁護士と比べて高い専門的能力を有している場合に限って、初めて「専門」 と言えるはずですが、現在の私達の業界では必ずしもそのような場合でなくても「○○専門」などと宣伝している事務所も数多く存在しているのです。

私がみるに、現在の弁護士の業界で真に専門化されている分野は、渉外事件(外国との取引に関する法律事件)と特許事件くらいで、後の分野のほとんどは専門化されているとは思われません。

私の事務所も、このような意味での「専門」はありません。ほとんど全ての事件を扱っています。最近扱った事件は、離婚事件、遺産分割・相続事件、負債整理事件、交通事故事件といった一般的な民事、家事事件のほかに、

  • 自宅を新築したところ、地盤改良工事に瑕疵があり、家が傾いてしまったので工事業者を訴えたい。
  • 家を新築しようとしたところ、北側の家の人から日陰になるから建築をするなという仮処分を受けた。
  • ライセンス許諾契約を結んである仕事をしていたが、この契約に違反し、不正競争防止に違反するということで損害賠償の請求の訴えを起こされた。
  • 派遣社員と正規社員が喧嘩をして派遣社員に怪我を負わせたところ、派遣社員が会社に対して損害の賠償を請求してきたので対応してほしい。
  • 家を建てようとして敷地の土地を調べたところ、敷地の中に国有地である「赤道(あかみち)」が通っていた。この国有地を取得したいので対応して欲しい。
  • 自動車を購入したところ、かなりひどい交通事故の修復跡があった。売買契約を解除して売買代金の返還を請求したい。
  • 土地を購入したところ隣地との境界にまたがって土地に土留擁壁が設けられていた。この撤去費用を売主に請求したい。
  • 右翼団体から脱退したいが、怖いので対応して欲しい。
  • 売掛金を払ってくれないから回収して欲しい。
  • コンプライアンス体制を作りたいがどのようにしたらよいか分からないので、協力して欲しい。
  • ある会社を買い取りたいので、その手続きを代行して欲しい。
  • 架空の廃棄物処理の仕事話を持ちかけられ、高額な金銭を騙し取られた。相手に対して損害賠償の請求と刑事告訴の手続きをとって欲しい。
  • ある証券会社から株の信用取引を勧められ、一定期間信用取引をしていたが、多額の損失がでてしまったので、証券会社に損失や手数料の返還を求める手続きをとって欲しい。
  • 賃貸アパートのある住人が賃料を払ってくれないので、立ち退き手続きをとって欲しい。
  • 賃貸している店舗の賃借人から賃貸借期間の途中で解約されたので、契約書に従って建設協力金を没収したところ、この返還を求めて訴えられたので対応して欲しい。
  • 泥棒に入られ、貯金通帳を盗まれ、知らない間に引き出されてしまった。金融機関に対して貯金の払い戻し請求をして欲しい。

など、ありとあらゆる事件を受任し、処理してきており、このほかにも刑事事件も扱っています。どんな事件であれ、相談してみて下さい。

ただ、私の事務所では、現在のところ、①渉外事件、②特許事件、③医療過誤事件、④税務事件については、直接受任しておりません。(これらの事件を扱っている優秀な弁護士ないし法律事務所はご紹介します)。

私、白濱が弁護士になった頃は、司法試験合格者の数は年間500人程度で、そのうち400人程度が弁護士になっていました。ところが、現在では司法試 験合格者の数は1,500人以上となり、毎年実に1200人以上の割合で弁護士が増えています。その結果、弁護士と接する機会が増え、弁護士がより身近な存 在になりつつありますが、他方では弁護士の質の低下が強く懸念されています。弁護士も既に選ぶ時代に入っています。弁護士の選択は慎重にすべきです。

①何でも聞けるような弁護士か。②説明を十分してくれるか。③いろんな選択肢を指示してくれるか。④料金の説明をちゃんとしてくれるか。⑤自分との相性が合うか。などの点が判断資料となるでしょう。