身柄拘束後の処分

身柄拘束後の処分

前回、逮捕された際の手続についてご説明しましたので、今回は、その身柄拘束の手続が終わる時点での処分についてご説明します。

身柄拘束、勾留が終わる時点で、検察官によって起訴するかどうかが判断されます。

この際、①公判廷での刑事裁判となる起訴、②その時点で罰金を納めて手続を終了する略式起訴、③不起訴という3つの判断があります。

逮捕と勾留の手続は、検察官が起訴をするかどうかを判断するための捜査が行われる期間ですから、この間に集められた証拠から、その後の判断がされることになります。

①起訴は、被疑者による犯罪であるという証拠が十分で、検察官が刑事処罰を受けさせることが適切と判断された場合です。弁護人は、これに異議があれば、裁判手続で争うことになります。

次に、②略式起訴というのは、法律(刑法など)に100万円以下の罰金刑が定められた罪であることを前提に、正式の裁判手続をせずに、裁判所が有罪の決 定をし、罰金を支払わせる手続です。略式起訴になりうる罪として、傷害罪、暴行罪、窃盗罪、名誉毀損罪などがあります。他方で、殺人罪、強盗罪、恐喝罪、 横領罪などには、罰金刑の定めはありませんので、略式起訴という簡易な手続がとられることはありません。

そして、③不起訴には、裁判で有罪とするだけの証拠が十分ではない場合と、裁判で有罪とするだけの証拠はあるが事件の軽微性などからあえて起訴(裁判) や略式起訴とせずに不起訴とする(起訴猶予)という判断があります。いずれにせよ、この不起訴となれば、刑事処罰を受けないということになりますので、い わゆる前科という記録は残りません。

事件の多くの場合には、私たち弁護士が、勾留されている被疑者の段階で弁護人として活動をします。具体的な事件によることにはなりますが、まずは、その 事件に対しての被疑者の言い分を把握して、被害者がある事件などの場合には和解(示談)を試みるなど、弁護人として、身柄拘束の期間をできる限り短くし、 また、できるだけ不起訴や略式起訴で済むように活動することになります。