督促手続について

督促手続について

知人に自動車を売ったのに、約束した支払日が経過し、代金の支払を求めても払ってもらえない、あるいは、友人にお金を貸したのに、返済日が経過して返済を求めても返してもらえないなど、お金の支払いを求めても相手がそれに応じない場合には、弁護士に依頼して、内容証明郵便の送付や裁判を提起して支払を求めることが考えられますが、弁護士費用等のことを考えて、弁護士に依頼するのをためらう人もいると思います。

前回、このような時に法律の専門家ではない方が利用する手続として、少額訴訟手続というものを説明しました。そこで、今回は、その少額訴訟手続と同様に、法律の専門家ではない方が、それほど費用をかけることなく、また、簡易迅速に紛争を解決することができる支払督促手続について説明したいと思います。

督促手続とは、債権者の金銭等の代替物を給付の目的物とする請求について、債権者の一方的申立により、その主張の真偽を審査することなく、裁判所書記官が支払督促(債務者に金銭の支払等をするよう督促する旨の処分をいいます。)を発する手続です。

具体的な手続の内容については、金銭その他の代替物等を給付の目的とする請求に限って利用できます。そのため、建物の明渡しや、特定物の引渡しを求めるためにこの制度を利用することはできません。

次に、手続の流れについては、相手方(債務者)の住所地を管轄する簡易裁判所の裁判所書記官に対して申立をします。なお、申立は書面によってしなければなりません。

申立がなされると、裁判所書記官がその内容を審査し(書面審査のみで、主張の真偽は審査しません。)、支払督促を発します。しかし、支払督促を受け取った相手方(債務者)が異議を申し立てると、その事件は通常の訴訟手続で審理されることになります。一方で、支払督促を受け取ってから2週間以内に相手方から異議の申出がない場合には、申立人は、その後30日以内に仮執行宣言の申立てをすることができます。なお、相手方(債務者)の異議の申出は、仮執行宣言が付されるまで可能です。

仮執行宣言の申立がなされると、裁判所書記官がその内容を審査し、支払督促に仮執行宣言を付します。この仮執行宣言が付されると、申立人は、直ちに強制執行の手続をとることができます。一方で、申立人が仮執行宣言の申立てをしなかった場合には、支払督促は失効します。

仮執行宣言の付された支払督促に対して、相手方(債務者)が異議を申し立てた場合には、その事件は通常の訴訟手続で審理されることになります。なお、相手方(債務者)が異議を申し立てることのできる期間は、仮執行宣言付支払督促を受け取ってから2週間以内です。また、支払督促に対して異議申立をしても、当然に強制執行手続が停止するわけではなく、執行停止の手続をとらなければなりません。一方で、相手方(債務者)から異議の申出がなければ、支払督促は確定し、確定判決と同一の効力を有することになります。

以上の通り、支払督促は、債権者が提出した申立書だけを審査し、相手方(債務者)の言い分は聞かないでなされるものです。そのため、相手方(債務者)としては、言い分があるときは、異議の申出が重要となってきます。

この督促手続が有効・適当とされる事案としては、相手方(債務者)が、債権者の主張する権利の存在自体を争わず、資金不足や怠慢により支払等をしない場合が考えられます。相手方(債務者)が、債権者の主張する権利の存在自体を争っているような場合には、督促に対する異議が出される可能性が高く、その場合、訴訟手続に移行してしまい、督促手続を利用した意味がなくなるため、適当ではないと考えられます。

以上のとおり、これまで督促手続について説明してきましたが、もっと詳しく手続を知りたいという方、あるいは、抱えている紛争が督促手続での解決に適しているどうかを知りたいという方、さらには、申立書などの裁判所へ提出する書面の書き方などでお困りの方は、是非一度当弁護士事務所までご相談ください。