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再転相続と相続放棄

カテゴリー 2018年11月19日

1 祖父が亡くなってすぐ父が亡くなった!

Aが今年の8月に亡くなりました。Aの息子Bは、Aの財産を相続するかしないか(相続の「承認」または「放棄」)を3か月以内に決めなければなりません(「熟慮期間」といいます)。

しかし、Bが承認も放棄もしないまま、熟慮期間内の9月に亡くなってしまいました。

A:祖父 B:父 C:子

さて、本コラムの主人公はBの子Cです。

AとB共に財産がある場合(不動産や預貯金等の財産が借金より多い場合)、CはAB両方を相続するということで問題ないでしょう。

反対に、AもBも借金の方が多い場合、CはAB両方について相続を放棄することになるでしょう(この場合、家庭裁判所での放棄の手続はBについてすれば足ります)。

2 一方を「承認」して他方を「放棄」?

それでは、次の場合はどうでしょうか?

① Bは借金の方が多いけれども、Aは財産の方が多い場合

② Aは借金の方が多いけれども、Bは財産の方が多い場合

Cにとって最良の選択(可能かどうかはさておいて)は、①の場合、Bについて相続を放棄し、Aについて相続を承認することです。

そして、②の場合、Aについて相続を放棄し、Bについて相続を承認することです。

しかし、そんなに都合の良い選択ができるのでしょうか?

3 「再転相続」とは?

これは、「再転相続」といわれる問題です。

上記の例のように、祖父Aが死亡し、父Bが熟慮期間中に承認も放棄もせず死亡した場合、子Cを再転相続人と呼び、CがAB各々について承認・放棄を自由に選べるのかが問題となります。

※ BがAの死亡について熟慮期間内に何もせず、期間の経過後に亡くなった場合は、Aの相続を承認したものとして扱われますので、再転相続の問題にはなりません。)

※ なお、似たような言葉として「代襲相続」という言葉があります。これは、被相続人が亡くなるより前に相続人となるべき人が亡くなり、または廃除や欠格事由により相続権を失った場合に、その人の直系卑属(子や孫。なお、兄弟姉妹の場合はその子に限ります。)がその人に代わって相続人となることをいいます。上記の例では、BがAより先に亡くなった場合に、Cが代襲相続人としてAを相続することになります。

※ 再転相続の場合の熟慮期間について、再転相続人(C)は、第1の相続(Aの相続)と第2の相続(Bの相続)各々につき、自分の為に相続の開始があったことを知った時から3か月以内に承認・放棄を選択できます(民法916条)。つまり、Aの死亡を知ってから3か月経過していても、Bの死亡を知った時から3か月以内であれば、CはAについても承認・放棄の選択が可能です。

4 父の相続を放棄する場合、祖父の相続は承認できない!

結論から述べますと、

①の場合 → Bの相続を放棄する場合、Aの相続を承認することはできない

②の場合 → Aの相続を放棄し、Bの相続を承認することができる(B固有の相続財産のみを相続する)

となります。

その理由は次のとおりです。

先ず、①の場合、CはBの相続を放棄することにより、Bが持っていたAの相続についての選択権(承認か放棄か)をも失うことになると考えられるため、Aの相続を承認することはできないとされています(最高裁昭和63年6月21日第三小法廷判決)。

次に、②の場合、CがAの相続を放棄しても、Bの相続について承認か放棄かの選択は自由にできるとされています(上記判例)。
仮にBが亡くなる前にAの相続について放棄していれば(再転相続ではなく通常の相続の場合)、CはBの相続について承認か放棄かを選べることから、それと同じように扱うのが適切であると考えられているようです。

5 再転相続の12パターン

さて、ここまでは、CがAB共に承認も放棄もしていない状況を前提にお話ししてきましたが、再転相続人の中には、既にどちらか一方について承認又は放棄をしてしまっている場合もあるかと思います。
そこで、既に一方を選択してしまっている場合も含めて、再転相続として考えうる合計12パターンをその効果と共に列挙してみたいと思います。

⑴ AB同時に承認
→ CがAB共に相続する。

⑵ AB同時に放棄
→ CはAB共に相続せず、次順位の相続人に選択権が移る。

⑶ 同時にA承認B放棄
→ CはAを相続できず、次順位の相続人に選択権が移る。

⑷ 同時にA放棄B承認
→ CはBのみ相続する。

⑸ A承認後、B承認
→ CがAB共に相続する。

⑹ A承認後、B放棄
→ CはAを相続できず、次順位の相続人に選択権が移る。

⑺ A放棄後、B承認
→ CはBのみ相続する。

⑻ A放棄後、B放棄
→ CはAB共に相続せず、次順位の相続人に選択権が移る。

⑼ B承認後、A承認
→ CがAB共に相続する。

⑽ B承認後、A放棄
→ CはBのみ相続する。

⑾ B放棄後、A承認
→ CはAを相続できず、次順位の相続人に選択権が移る。

⑿ B放棄後、A放棄
→ CはAB共に相続せず、次順位の相続人に選択権が移る。

6 まとめ

今回は、再転相続という少し珍しいケースについてお話ししました。

再転相続の効果を簡単にまとめると、父の相続を放棄して祖父の相続を承認することはできない(他のパターンは自由に選択できる)、ということになります。

祖父が亡くなってすぐ父が亡くなる場合というのは、あまりないことかもしれませんが、もしものときは本コラムを参考にしてみてください。

相続の手続は、一つ間違えると多大な借金を背負うリスクを孕んでいます。少しでも迷うことがありましたら、お気軽に当事務所にご相談ください。

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