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取締役の第三者に対する責任

カテゴリー 2016年09月10日

取締役の第三者に対する責任
 
 今回は、前回の取締役の会社に対する責任に引き続き、取締役が第三者に損害を与えた場合の責任についてお話しします。

1.429条の要件
 例えば取締役の放漫経営によって会社の資産が減少し、会社の債権者が当該債権の回収見込みがなくなったような場合に、回収不能となった損害を取締役に責任追及できるでしょうか。
 このように取締役が第三者に損害を与えた場合について、会社法429条1項は「役員等がその職務を行うについて悪意または重大な過失があったときは、当該役員等は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う」と規定しています。この文言から429条の要件を挙げると、①職務を行うについての悪意または重過失、②第三者の損害の発生、③(①と②の間に)因果関係があること、となります。
さきほどの事例でいえば、放漫経営が悪意または重過失によってなされ、取締役の放漫経営と債権者の損害との間に因果関係が認められれば、取締役の第三者に対する損害賠償責任が認められます。
 
2.会社法429条と民法709条の関係
 少し入り組んだ話になりますが、会社法429条について、民法709条の不法行為責任との関係が問題となります。
民法709条は「故意または過失によって他人の権利または法律上保護された利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」ものとされています。
民法709条は「故意または過失によって」という比較的緩やかな要件に対して、会社法429条は「悪意または重過失があったとき」と規定され、要件が厳格になっています。そうすると、民法の規定よりも会社法の規定のほうが取締役への責任追及のハードルが高そうに思え、一見すると会社法429条により取締役の責任が軽減されているように見えます。
しかし判例および通説は、会社法429条は取締役の責任を軽減したものではなく、第三者に対する責任を加重するために特別に規定されたものであり、損害を受けた第三者は自己に対する加害に対しての「悪意または重過失」を立証しなくても、任務懈怠についての「悪意または重過失」を立証しさえすれば足りるもの、と解釈する立場を採っています。
すなわち、民法709条による場合、「故意または過失」要件を満たすためには第三者に対する注意義務違反を立証しなければならないのに対し、会社法429条の「悪意または重過失」要件は、会社に対する任務懈怠さえ立証すれば、自己に対する注意義務違反を立証せずとも責任を追及できる旨の規定だと考えています。この会社法429条を特別な責任を加重した規定ととらえる立場からは、損害を受けた第三者は、会社法429条に基づく損害賠償請求と、民法709条に基づく不法行為責任としての損害賠償請求のふたつの方法によって責任追及できることになります。
 ただし、この遅延損害金の利率は商事法定利率の6%ではなく、民事法定利率の5%であることにご注意ください。

3.会社法429条の「第三者」
 さらに、会社法429条には従来から株主が429条にいう「第三者」に含まれるのかという議論があります。
 例えば、会社が著しく有利な価額で株式を発行した場合に、持株価値が低下したことによる損害について、株主が「第三者」としてこの規定によって損害賠償請求ができるのか、という議論です。学説では損害の態様を直接損害と間接損害とに分け、直接損害には株主も含まれるが間接損害の場合は含まれないとする説、直接損害の場合も間接損害の場合も含まれる説等があり、いまだ決着はついていません。ですので、株主の方が損害を被った場合には、株主代表訴訟(847条)の手段も考慮しておくのが賢明かと思います。

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